堺市堺区の堺駅近くにある精神科、心療内科の吉田診療所です

吉田診療所

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睡眠障害

過眠症

起きていなければいけない昼間の時間帯に強い眠気に襲われ、何度も居眠りを繰り返してしまうような場合、過眠症という睡眠の病気が考えられます。ナルコレプシー、特発性過眠症、反復性過眠症などがあります。これら以外にも昼間の眠気の原因となる睡眠疾患はたくさんあります。例えば、睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)などでは、夜の睡眠が妨げられるために二次的に日中の眠気が生じます。また、若者の「朝起きられない」、「昼間に眠い」といった症状は、睡眠不足(睡眠不足症候群を含む)や睡眠リズムの問題(夜遅くまでねむれず、朝おきられないなど)を最初に考える必要があります。ここではナルコレプシーについて取り上げます。

ナルコレプシー

睡眠発作(日中に突然強い眠気に襲われて眠り込んでしまう(10-15分程度))と情動脱力発作(強い感情の動き(笑う、驚く、冗談を言うなど)が引き金になって生じる全身の脱力症状)などを主な症状とする慢性の過眠症です。
ナルコレプシーは13歳くらいに始まることが多いのですが、日本ではこの病気を正しく診断できる医師が少ないため、ナルコレプシーの診断が確定するまでにしばしば長い時間がかかっています。このため、診断がつくまでの間、患者様は強い眠気や情動脱力発作に悩まされ、学業や社会生活上において非常な困難をこうむる場合が少なくありません。
オレキシンという神経伝達物質を作る細胞がなくなってしまうことが、ナルコレプシーの原因の一つであることが最近の研究から解明されています。
診断には、入院した上での精密な検査(終夜睡眠ポリグラフ検査と反復睡眠潜時検査)が必要です。これらの検査は、関連病院(阪南病院:堺市南区)にお願いしています。

レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)

夜になって布団に入りじっとしていると、足がむずむずしてじっとしていられなくなり、足をこすり合わせたりマッサージしたりなど、とにかく足を動かさないと我慢できない、という睡眠の病気です。足の不快感は、むずむず、虫がはうような、重だるい、とにかく気持ち悪い、痛い、冷たい、など人によってさまざまな形で訴えられます。マッサージをしたり足を動かすことで一時的に不快感は軽くなりますが、安静に戻るとまた不快感に襲われます。症状が強い場合は夜にほとんど眠れなくなり、ひどい不眠に悩まされることになります。鉄欠乏との関連があり、女性、妊娠中に多いことが知られています。その他には、腎不全、パーキンソン病などに合併することもよくあります。
10年くらい前までは睡眠医療の専門家しか知らない病気で、かかりつけの先生に相談しても診断に至らないことがよくありました。近年は、治療薬が発売されたこともあり、少しずつ知られるようになってきました。慢性化した不眠症状(入眠困難など)がある場合、鑑別・除外しておかねばならない睡眠の病気です。
なお症状は足だけとは限りません。腕やお腹にでることもあります。足に症状はなく、背中だけに症状が出るような方も数名経験しております。

レム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder: RBD)

高齢の男性に多い病気です。レム睡眠中に夢を見ているとき、本来であれば筋肉は弛緩(しかん:だらんとして動かない状態)して身体は動かないようになっています。しかし何らかの原因で、筋肉を弛緩させて身体が動かないようにする機能がうまく働かなくなり、その結果、夢の内容に一致して身体が動いてしまうという睡眠の病気です。ケンカをしている夢を見て、大声の寝言を発したり、隣で寝ている家族に殴りかかったり、起き上がって壁をけっとばして大けがをしてしまう・・・といったことが生じることもあります。
このような症状は、レビー小体型認知症やパーキンソン病、脊髄小脳変性症など、他の病気のごく初期の症状として現れる場合があることがわかってきました(症候性RBD:全体の40%ほど)。RBDを持つ方が全員そのような病気に移行するわけではありませんが、長期間に亘って注意深く経過を追う必要がありそうです。

リズム障害(概日リズム睡眠・覚醒障害群)

身体の中には時計の機能があり、生物時計(体内時計)と言われます。リズム障害とは、外界の明暗周期と、生物時計とのリズムが一致(同調)していない状態です。リズム障害には、身体の中の時計機能自体に何らかの不具合がある場合と、身体の中の睡眠・覚醒リズムに反して睡眠を取ろうとするときに生じる場合(海外旅行や交代勤務など)とがあります。
当院を受診される方でよく見られるのは、深夜にならないと眠くならず朝起きられないという問題です(睡眠相後退型、もしくは睡眠・覚醒相後退障害)。学生時代はあまり問題にならなくても、社会人になると朝起きられずに出社できない、といった形で問題が表面化することがあります。

睡眠時無呼吸症候群

細かい下位分類がありますが、ここでは比較的多い閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)について触れたいと思います。OSASでは、睡眠中に気道(空気の通り道)に閉塞が起こり、呼吸が浅くなるか、もしくは止まってしまいます。10秒以上続く浅い呼吸や呼吸の停止が、睡眠1時間あたり5回以上ある場合に睡眠時無呼吸症候群が考えられます。睡眠脳波を記録して様子を観察すると、呼吸の問題に伴って何度も目が覚めて睡眠はこまぎれになってしまいます。患者様本人は目が覚めた自覚がない場合が多いのですが、実際は呼吸の問題に伴う短い覚醒を繰り返すことになります。
このように十分な睡眠が得られないことから、患者様は朝から身体がだるく、昼間の眠気も強く、集中力・記憶力の低下、居眠り、交通事故など、生活上にさまざまな問題が生じる可能性が高まります。また、本来睡眠中は血圧、脈拍は低下するのですが、OSASでは呼吸が止まって苦しいために、血圧、脈拍が上昇してしまいます。その結果高血圧が悪化したり、高血圧によって二次性に生じる諸疾患(心血管性疾患など)のリスクが上昇してしまうこともあります。
中年男性に多い病気であり、肥満(体重増加)が重要な発症リスクになります。肥満があまり目立たなくても、小顎傾向や面長などの顔面形態の特徴がOSASのリスクを高めることがわかっています。

診断には、通常の診察に加えて特殊な検査を要します。自宅でできる携帯装置による検査を行った上で、さらに精密な検査が必要な場合は入院にて終夜睡眠ポリグラフ検査などを行います。